本を読むと疲れる・眠くなる人へミエルラボ式「楽に本を読むコツ」

「本を読みたいのに、数ページ読むと目が疲れる」

「同じところを何度も読み返してしまう」

「本を開くと、なぜか眠くなる」

そんな経験はありませんか?

本を読むのが苦手だと、 「集中力がないから」 「文章を読むのが得意ではないから」 と考えてしまうかもしれません。

もちろん、読書のしにくさには、睡眠不足、文章の難しさ、 視力や眼鏡の状態、ドライアイ、姿勢など、 いろいろな要因が関係します。

ただ、もう一つ見直してみたいのが、 「文字をどのように見ているか」 です。

一文字に強く集中して読む場合と、ページ全体を視界に入れて読む場合を比較した図解
一文字を追い続ける読み方と、広い視界の中で文字を見る読み方
目次

本を読むとき、目は文字の上を滑っているわけではない

文章を読んでいると、目が文字の上をスーッと滑っているように 感じるかもしれません。

しかし実際の読書では、 目は一定速度で滑らかに文章をなぞっているわけではありません。

止まる → 素早く移る → また止まる

この「止まっている時間」を 固視、 次の場所へ素早く視線を移す眼球運動を サッカードと呼びます。

読書中には、この固視とサッカードを繰り返しながら、 文章から視覚情報を取り込んでいます。

縦書きの文章を読むときに視線が上から下へ進み、次の列へ右から左に移動する様子
縦書きでは、基本的に上から下へ読み、次の列へ右から左へ視線を移します

今見ている一文字だけで読んでいるわけではありません

ここが今回の記事で、特に知ってほしいポイントです。

私たちは細かな文字を認識するとき、 視線を向けている中心部分の情報を重要に使います。

しかし読書研究では、 今固視している場所だけでなく、その周囲の文字情報も読書に利用されている ことが示されています。

現在見ている単語だけではなく、 その近くにある情報も使いながら、 次にどこへ視線を移すのか、文章をどう処理するのかが調整されます。

Raynerらは、読書中に一度の固視から利用できる情報範囲、 いわゆるperceptual span(知覚スパン)と 読書速度との関係を調べています。

またLeggeらは、一度に文字を正確に識別できる範囲を visual spanという観点から研究しています。

ここは誤解しないでください。
「周辺視野を広げれば誰でも速読できる」 という意味ではありません。 読書速度や理解には、視覚だけでなく語彙、言語処理、 注意、文章への慣れなど多くの要因が関係します。

一文字一文字を「しっかり見よう」としすぎていませんか?

ここからは、研究結果そのものではなく、 ミエルラボで目と身体の使い方を見るときに 大切にしている視点です。

本を読むのが苦手な方の中には、

「全部の文字を見落としてはいけない」

「一文字ずつ、ちゃんと見なければいけない」

「最初から最後まで全部理解しなければいけない」

という意識が強くなっている場合があります。

すると、 一文字を確認して、 次の文字を確認して、 またその次を確認して……と、 非常に細かな作業の連続になっていきます。

目だけではありません。 注意そのものも一点一点へ強く向き続けることになります。

一点を捕まえる読み方

一文字ずつ確認する
見落とさないようにする
注意も一点へ集め続ける

広い中で読む

ページ全体も視界にある
必要なところへ視線を移す
文字より意味を受け取る

ミエルラボでは分かりやすく、 こうした状態を 「目の凝視」と「注意の凝視」 として考えることがあります。

ただし、 「凝視が本を読むときの疲労を直接引き起こす」ことが、 今回紹介する研究から証明されているわけではありません。 ここは読書時の眼球運動や視野の仕組みと、 実際の身体の使い方を組み合わせた ミエルラボとしての実践的な見方です。
一文字ずつ追う読み方と、意味のまとまりとして文章を見る読み方を比較した図解
一文字を捕まえるのではなく、少しずつ「意味のまとまり」へ

ミエルラボ式「楽に本を読む」3つのコツ

1 最初にページ全体を見る

本を開いたら、 いきなり文字へ飛び込まず、 まず数秒だけページ全体を眺めてみます。

ページの四隅、余白、文章のまとまり、 本の外側まで視界に入っています。

すべてをはっきり見ようとする必要はありません。

「広い視界の中に、文字がある」 くらいで十分です。

その広さを完全に消さないまま、 読みたい文章へ視線を向けてみます。

2 一文字ではなく「意味」を受け取る

次は、文字そのものを見ることより、 文章の意味へ意識を向けてみます。

例えば、

今日は天気がとても良かった

という文章を読むとき、 「今」「日」「は」「天」「気」と 一文字ずつ確認する必要はありません。

文章を読む脳は、文字列を単語や文脈として処理しながら、 意味を理解していきます。

ですから、

「文字を捕まえる」
よりも
「意味を受け取る」

という意識へ少し変えてみます。

無理に何文字も一度に読もうとする必要はありません。 これは速読の練習ではありません。

3 今読んでいる文字以外を消さない

ある文字を読んでいる瞬間も、 その周囲の文字やページの余白は視界から消えていません。

中心では必要な文字を細かく見ながら、 その周囲にも視覚情報があります。

YuとKwonは、正常または矯正正常視力をもつ成人24名を対象に、 視野の一部を実験的に見えにくくした状態で 読書時の眼球運動を調べています。

その結果からも、 中心だけでなく傍中心・周辺の視覚情報が、 効率的な読書行動に関わっていることが示されています。

そこで意識するのは、

一点を見る。
でも「一点しかない」状態にはしない。

という感覚です。

30秒でできる「読み方の違い」チェック

ここまで読んだら、 実際に同じ本を使って比べてみましょう。

1 10〜20秒、一文字も読み落とさないつもりで読む
2 眉間、目の周り、首、肩、呼吸がどうなっているか確認する
3 一度本から視線を離して、周囲も含めて広く見る
4 再びページ全体を見てから文章へ視線を向ける
5 今度は「文字を追う」より「意味を受け取る」つもりで読む

ここで比べてほしいのは、 どちらが速かったかではありません。

比べるのは、

どちらが楽だったか。
どちらが呼吸しやすかったか。
どちらが身体に余計な力が入りにくかったか。

本を読むと眠くなるのは、見方だけが原因ではありません

「本を読むと眠くなる」という方も多いと思います。

ただし、ここは単純に 「目を凝視しているから眠くなる」 とは言えません。

眠気には、 睡眠時間や睡眠の質、時間帯、疲労、 文章への興味、室温など、 さまざまな条件が関係します。

一方、読書は身体の動きが少なく、 視距離も比較的一定になりやすい活動です。

さらに顔を本へ近づけ、 肩をすくめ、 呼吸まで浅くなりながら 一文字ずつ強く追っていたとしたら、 読書そのものがかなり「頑張る作業」になっているかもしれません。

眠気をなくす方法と考えるより、 まずは 「今、自分はどんな状態で読んでいるのだろう?」 と観察してみてください。

読書には目だけでなく首や肩、姿勢、呼吸も関係することを示した図解
読書は目だけの仕事ではなく、姿勢や呼吸も同時に存在しています

読書は「目だけの仕事」ではありません

本を読むとき、 働いているのは目だけではありません。

眼球運動に加えて、 注意、言語理解、記憶など、 さまざまな脳の働きが関係しています。

そして実際の身体では、

・本との距離

・頭の位置

・首や肩

・座り方

・呼吸

も同時に存在しています。

本へ集中するほど顔が前へ出て、 首や肩に力が入り、 呼吸が小さくなっていないでしょうか。

だからミエルラボでは、 「目をどう使っているか」だけでなく、 「身体全体でどう見ているか」 という視点を大切にしています。

速く読むことが目的ではありません

今回お伝えしたのは「速読法」ではありません。

無理に視野を広げたり、 一度にたくさんの文字を読もうとしたりする必要もありません。

目標は、

速く読むことではなく、
必要以上に頑張らずに読むこと。

本を読む目的は、 文字を見ることそのものではありません。

その文字から、 書かれている内容を受け取ることです。

一文字一文字を完璧に捕まえようとしていると感じたら、 一度だけ、

ページ全体を見る。

必要な場所へ視線を向ける。

文字ではなく意味を受け取る。

という読み方を試してみてください。

まずは 「頑張って読む以外の読み方もある」 と気づくところから始めてみましょう。

参考文献
  1. Rayner K, Slattery TJ, Bélanger NN. Eye movements, the perceptual span, and reading speed. Psychonomic Bulletin & Review. 2010;17(6):834–839. DOI: 10.3758/PBR.17.6.834
  2. Legge GE, Cheung SH, Yu D, Chung STL, Lee HW, Owens DP. The case for the visual span as a sensory bottleneck in reading. Journal of Vision. 2007;7(2):9. DOI: 10.1167/7.2.9
  3. Degno F, Liversedge SP. Eye Movements and Fixation-Related Potentials in Reading: A Review. Vision. 2020;4(1):11. DOI: 10.3390/vision4010011
  4. Yu H, Kwon M. Altered Eye Movements During Reading With Simulated Central and Peripheral Visual Field Defects. Investigative Ophthalmology & Visual Science. 2023;64(13):21. DOI: 10.1167/iovs.64.13.21

※今回紹介した研究は、読書時の眼球運動や視覚情報の利用についての研究です。 ミエルラボの施術や、本記事で紹介した読み方そのものの効果を検証した研究ではありません。

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