視力が悪くなってきたとき、見え方はどう変わる?

目次

― 目・脳・身体からやさしく読み解く「視力低下」の正体 ―

「最近、文字がにじむ気がする」
「前よりピントが合うのが遅い」
「夕方になると一気に目が疲れる」

視力が落ちてきたとき、多くの人は
「目が悪くなったんだな」
と考えます。

でも実は、その見えにくさは
目だけでなく、脳や身体全体が関わって起きている変化でもあります。

視力低下のはじまりは「ぼやけ」だけじゃない

視力が下がり始めると、こんな変化が少しずつ現れます。

  • 文字の輪郭がにじむ
  • ピントを合わせるのに時間がかかる
  • 明るさの変化についていけない
  • 暗い場所で特に見えにくい
  • 目だけでなく頭まで疲れる

これは、
オートフォーカスが少し鈍くなったカメラのような状態。

写らなくなったわけではないけれど、
毎回ピント調整に時間がかかり、その裏で負担が増えていきます。

目の中で起きている生理学的な変化

生理学的に見ると、視力低下の大きな要因のひとつが
近くを見る時間の増加です。

スマホやパソコンを長時間見続けると、
ピント調節を担う「毛様体筋」は、ずっと力が入りっぱなしになります。

これは、
ずっとつま先立ちをしている状態に似ています。
最初は平気でも、やがて疲れて、スムーズに動けなくなる。

2020年以降の研究では、
長時間の近距離作業が、
ピント調節機能やコントラスト感度の低下に関与することが報告されています
(Lanca & Saw, 2020)。

「見ている」のは目ではなく脳

ここで大切なのが、
私たちは「目で見ている」のではなく、「脳で見ている」という視点です。

目はカメラ、
脳はその映像を整理し、意味づけする司令塔。

網膜から送られた情報は、
脳の後頭葉にある視覚野で処理されます。

近年の脳画像研究では、
近視や視力低下がある人では、

  • 視覚野の活動バランスが変化する
  • 視覚情報の処理効率が低下する
  • 足りない情報を予測で補う処理が増える

といった変化が確認されています
(Li et al., 2021)。

つまり、見えにくいときほど
脳は一生懸命「補正作業」をしている状態。

その結果、
目の疲れだけでなく、
「頭がぼーっとする」「集中できない」
といった感覚にもつながっていきます。

視力低下は、身体の緊張を連れてくる

見えにくいと、人は無意識にこうなります。

  • 顔を前に突き出す
  • 眉間に力が入る
  • 呼吸が浅くなる
  • 首や肩が固まる

これは、
よく見ようとして全身が力んでいる状態

すると血流が悪くなり、
目や脳に必要な酸素や栄養が届きにくくなります。

例えるなら、
細いストローで一生懸命ジュースを吸っている状態
がんばっているのに、効率はどんどん落ちてしまいます。

2020年以降の研究が示す「環境」と視力低下

最近特に注目されているのが、
生活環境と視力の関係です。

  • 屋外で過ごす時間が長いほど、近視の進行が抑えられる
  • 自然光を浴びることで、網膜内の神経伝達物質が活性化する

2021年の大規模レビューでは、
近視は遺伝だけでなく、
「光環境」「視距離」「生活様式」の影響が非常に大きいと報告されています
(Holden et al., 2021)。

これは、
人の目と脳が、本来は自然光と遠くを見る環境に適応している
ということを示しています。

視力低下は「目のトラブル」ではなく「全身からのサイン」

視力が悪くなってきたときの見え方の変化は、

  • 目の筋肉の使い方
  • 脳の情報処理の負担
  • 姿勢や呼吸のクセ
  • 光や環境の影響

これらが重なって起こります。

だからこそ、
「見えにくい=すぐ度数を上げる」だけでなく、
どう見ているか、どう身体を使っているかを見直すことが大切です。

視力低下は、
「もっと楽に見ていいよ」
「少し立ち止まって」
という、身体からのやさしいメッセージなのかもしれません。

ミエルラボでは

ミエルラボでは、上記に述べたような様々な角度から、自快適に見る身体の土台創りから、ご自身の見方の癖の把握、その調整や日常での見方のポイント、ケアの仕方などもお伝えしています。

気になる方は、まずは初回体験からお試ししてみて下さい。

公式LINEやお問合せからのご相談も承っております。

参考文献・研究データ

本記事の内容は、近年の脳科学・視覚生理学・疫学研究をもとに構成しています。
より詳しく知りたい方は、以下の研究も参考にしてみてください。


1.Digital Screen Time and Myopia: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis(2025)
スマートフォンやタブレットなどのスクリーン使用時間と近視リスクの関係を解析した最新のメタ分析研究。
1日のスクリーン時間が増えるほど、近視リスクが段階的に上昇することが示されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39982728/


2.Combination Effect of Outdoor Activity and Screen Exposure on Risk of Preschool Myopia(2021)
屋外活動とスクリーン露出の組み合わせが、幼児の近視リスクに与える影響を調べたコホート研究。
屋外で過ごす時間が、スクリーン使用による影響を軽減する可能性が示されています。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpubh.2021.607911/full


3.Prevalence of Myopia in Children Before, During, and After COVID-19 Restrictions in Hong Kong(2023)
コロナ禍による生活環境の変化と、子どもの近視有病率の推移を調査した大規模研究。
屋外活動の減少とスクリーン時間の増加が、近視進行と関連することが報告されています。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2802737


4.The association between screen time exposure and myopia in children and adolescents: a meta-analysis(2024)
スマートフォン・PC・テレビなど複数のスクリーンデバイスを対象に、近視との関連を分析したメタ解析。
現代の視環境が視力に与える影響を包括的に示した研究です。
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-024-19113-5


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次