近年の現代病とも言われる「子供の視力低下問題」。裸眼1.0未満の子は、小学生では3割以上、中学生では6割、高校生では約7割まで上昇しています。約40年以上、増加の一途を辿っています。
世界規模で子どもの近視率は増加傾向。1990年代からの上昇が続き、2020–2023年のデータではおよそ3人に1人(約36%)が近視と推定されています。PubMed+1
また、現在の大人世代でも7割以上の方が何かしら視力や目に問題を抱えていると言われています。
なぜこんなに増えているのでしょうか?
今回は一般的に言われている原因を踏まえつつ、一般的には語られない脳科学から考える本質的な側面も取り上げていきたいと思います。
子どもの視力低下の原因
まず一般的に言われる視力低下(近視化)の原因には、次のようなものがあります:
- スマホやタブレット、読書による「近くを見る時間」の増加
近くを見るとき、目の中の「毛様体筋」がずっと緊張し続ける。これが続くと遠くにピントを戻しづらくなります。 - 成長期における「眼軸」の伸びやすさ
特に小学校高学年〜中学生になる時期は、身体全体の成長とともに、眼球も前後に伸びやすい時期。近くばかり見ていると、眼軸が伸びやすくなり、それが近視の原因になる。 健康日本21アクション支援システム+1 - 遺伝的要因
両親が近視なら子どもも近視になりやすい傾向があります。 - 屋外活動の不足
自然光の下で過ごす時間が少ないと、近視のリスクが上がることが多くの研究で示されてきました。 PubMed+2SpringerLink+2
こうした要因は昔から「近視になりやすい」とされていて、多くの人がイメージする「スマホの見すぎ」「本を近くで読むから悪くなる」といった説明は、このあたりに由来します。
近年見えてきた — 視力低下の「深い理由」
最近の研究や臨床観察から見えてきたのは、「目」だけでなく、「体・姿勢・脳の使い方」なども含めた、より複雑な要因の重なりです。以下、主なものを整理します。
姿勢や首の角度が「目の状態」に影響する
実は、姿勢や首の向きなど「身体の使い方」が視力に影響する可能性があります。たとえば、ある研究では、「頭を下げた姿勢(うつむき姿勢)で本を読むと」、首を起こして読むよりも 眼圧(IOP) が上がり、近くに焦点を合わせたまま戻りにくくなる「一時的近視 (NITM)」が強く出ることが確認されています。 PubMed+1
また、別の研究では、「猫背・前かがみの姿勢」と「近視」が統計的に関連があると報告されています。つまり、姿勢の歪みは、視力だけでなく体全体の使い方や視覚の使い方と結びついている可能性があります。 medicopublication.com+2サイエンスダイレクト+2
特に、身長が伸びたり、机や椅子がその子の成長に合っていなかったりすると、「頭が前に出る」「背中が丸くなる」「本や画面が顔に近づく」といった姿勢になりやすく、それが視力の悪化につながるリスクがあると指摘されています。 J-STAGE+1
近くの凝視 による 脳と目の“フォーカスの癖”
近年、環境要因だけでなく、「視覚の使い方そのもの」が視力に影響を与えるという考え方も出てきています。
たとえば、長時間スマホや本、ゲームなど“近くを凝視”する習慣が続くと、脳と目が「近くにしかピントを合わせない」「細かく集中するモード」に慣れてしまい、遠くへのピントが効きづらくなる、という仮説があります。これは、単に物理的な目の使い方(眼軸やレンズ)というよりも、「脳の見方・意識の使い方」の問題とも言えます。
このような「近くにフォーカスする視覚癖」は、一度身につくとなかなか自覚できず、気づかないうちに視力低下を加速させる可能性があります。
視覚情報の増加・ストレス・脳の疲労
近年の子どもたちは、昔に比べてスマホ・ゲーム・動画やSNSなど、視覚への入力が非常に多くなっています。このような「画面を見続ける生活」は、ただ近くを見る時間を増やすだけでなく、脳にとっても多大な負荷となります。
最近の統計レビューでは、週あたりの屋外時間 (TSO) が多いほど近視になるリスクが下がるという傾向が示されています。 PubMed+1
逆に、長時間の近く作業 (near work) や座っている時間が多いと、近視の発症や進行リスクが高まるという報告があります。 PubMed+1
つまり、視覚情報の過多 → 脳の過負荷 → “視覚を細かく・近くに集中する癖” → 結果として視力低下、という流れも考えられます。
脳の発達段階から考える「更に深い理由」
近視の増加は、単なる「スマホの見過ぎ」では説明しきれません。
端的に言うと、子どもたちの脳の進化と、教育システムの古さの衝突とが大きく関わっている可能性があります。
私達は本来 、『意図 → 知覚 → 行動』という流れで世界を学ぶ脳を持っています。
成長期の子供はまさにこの感性で成長する真っ最中!
自分の興味やビジョンを起点に情報を選び、そこから行動する「意図先行型」。
しかし学校教育は昭和の価値観を引きずり、
「現状を見ろ → 正解を覚えろ → みんなと同じように動け」
という「知覚→→行動」の逆モデルで動き続けています。
そして一番大切な「本人が何をしたい(vision・意図)」が抜けてしまっています。
このミスマッチが、子どもたちの脳に強いストレスを与えます。
意図を封じられた状態が続くと、本来RAS(脳幹にある脳の選択フィルター)が行う
「必要な情報だけを選ぶ」機能が弱まり、
目は外側の情報を処理し続ける過負荷状態に入ります。
すると視覚は防御のために「距離を取る」方向へ働き、
焦点距離が短く固定され、近視化が進んでいきます。
さらに、昭和~平成前期の親世代は
「みんなと同じが安全」「変わらないでほしい」という恐れを無自覚に持っています。
これが子どもの「自分の意図を持つ力」をさらに抑え、
ビジョンが描けない → 視覚が収縮する → 近視が進む
という流れを加速させます。
つまり近視は、環境に押し込まれた子どもたちが
“意図を守るために視野を狭くする”という適応反応の一部でもある可能性があります。
「小学校高学年〜中学生」で特に視力低下が起きやすい要因
なぜ多くの子どもが「この時期」に視力低下を経験するのか。その理由として、以下があげられます:
- この年代は身長も伸び、身体の発育とともに姿勢が不安定になりやすい。机や椅子が合っていないと姿勢が崩れやすく、視覚にも負担がかかりやすい。
- 学校や塾で勉強時間・読書時間が増え、スマホやタブレット利用も解禁されやすく、近くを見る時間が一気に増える。
- 脳や心の発達段階で、集中力やストレスにさらされやすく、視覚的・精神的な緊張が起きやすい。
つまり、身体的な成長期 × 生活習慣の変化 × 脳・心の発達 が重なり、視力低下(近視化)が起きやすいタイミングになっている。
「目だけを見ない」アプローチが必要 — 具体的な対策
もしあなた(保護者・教育者など)が子どもの視力を守りたいなら、以下のような「包括的な視点」での対策を考えるのがおすすめです。
- 屋外で過ごす時間を意識的に確保する
自然光を浴びる時間は、近視の進行を抑える効果が複数の研究で示されている。 PubMed+2PubMed+2 - 机・椅子の高さ、姿勢、読書/画面との距離を適切に保つ
特に成長期の子どもは机や椅子の高さが合わず、猫背になったり画面や本が近くなってしまいがち。姿勢を整えることで、首や目への負担を減らせる。 サイエンスダイレクト+2PubMed+2 - 近くばかり見ない「遠くを見る時間」を入れる
授業などで黒板を使った後、遠くを見たり、外を眺めたりすることで、目の筋肉と脳の「遠くを見る力」をリセットする。 - スクリーン時間を管理し、間に休憩を入れる
スマホやゲームの時間が長くなると近くに集中しがち。できれば 20–30 分ごとに遠くを見るなどの「目の息抜き」を。 - 心身をリラックスさせる習慣を大切に
ストレスや緊張、精神的なプレッシャーは、視覚の使い方にも影響を与える可能性あり。バランスの良い生活、運動、睡眠を心がけよう。 - 子供の好き嫌い、自らの意思・意図を尊重する関りを大切に 子供の多様性も増える中、子供の意思を尊重しつつ自ら能動的に物ごとに取り組める環境をサポートする。
- 必要に応じて専門家の診断・介入を受ける
最近では、裸眼で行う「3D視力トレーニング (NVT)」など、近視進行を抑える可能性のある方法も研究されている。 日経BPメディカル+1
まとめ
子どもの視力を守るには「目・体・脳・生活」のトータルケアが鍵
子どもの視力低下(近視化)は、もはや「目の問題だけ」ではありません。成長する身体、勉強やスマホなどの近く作業、姿勢、脳と心の使い方、生活習慣――。これらすべてが重なり合い、視力に影響を及ぼします。
だからこそ、単に「スマホを減らそう」「暗い部屋で本を読むな」と注意するだけでは足りません。子どもの視力を守るためには、屋外時間、姿勢、遠くを見る習慣、心身の健康 を含めた 包括的なアプローチ が大事です。
次回は、子供の近視予防の為に、周囲の環境や周りの関り、どんな勉強方法などが理想なのでしょうか?
そちらについてもまとめていきます。
具体的なご質問や30分無料相談も承っております。以下よりお気軽にお問い合わせください。

コメント